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『アジア民衆史研究 第7集 君主観と主体の形成』

アジア民衆史研究 第7集 2001年テーマ 君主観と主体の形成 東アジアにおける民衆の世界観(1) 金井隆典「主旨説明」 岸本美緒「清朝皇帝の南巡と民衆」 奈倉哲三「諷刺眼維新変革―民衆は天皇をどう見ていたか―」 山本陽子「絵巻における天皇の描かれ方―平安朝から近代まで―」 須田努「趙景達氏『異端の民衆反乱』に見る東学民衆の君主観」 高島千代「安丸良夫氏の研究における民衆運動と「世界観」の形成」 須田努「深谷克己氏の研究から見た幕末期民衆の君主観」 靱矢嘉史「討論要旨」 書誌情報 2001年5月1日発行 
B5版/38ページ 
日本語・韓国語・中国語目次

2001年度テーマ 東アジアにおける民衆の世界観(1):君主観と主体の形成

1997年の国際シンポジウム「東アジアの近代移行を民衆運動史からとらえるシンポジウム」、1998年の国内シンポジウム「近代移行期、東アジアにおける政治的中間層の成立」の両シンポジウムにおいては、19世紀の激動する社会の中で人々の政治的主体の形成とあり様を分析・検討する視角として、構成概念としての「政治的中間層」を提起し、1999年の国際シンポジウム「東アジアにおける国民形成と民衆」では、「国民形成」を軸に、19世紀以降の東アジアの近代化過程をも視野に収めて、人々の主体の多様なあらわれ方を検討した。さらに、2000年の国際シンポジウムは、「東アジアにおける国民形成とジェンダー」をテーマに、近代移行期における人々の主体形成の問題をジェンダーの視点から検討し、ジェンダーが人々の主体形成にどうコミットしていったか、同時に、ジェンダーが新たに社会的にどのように作られていくのかについて議論した。(それぞれの議論の詳細については、『東アジアの近代移行と民衆』3集~6集を参照されたい。) 以上のように、アジア民衆史研究会は近代移行期の日・中・韓各地域における人々の主体の形成とそのあり様について考察を続けてきたが、こうした過程のなかで、人々の主体の形成とそのあり様を明らかにするためには、人々の「意識」に焦点をあてた検討・考察が必要であるとの結論に至った。とりわけ、人々の「意識」の一形態であるジェンダーの視角から、国民形成とジェンダーの関わりを問うた昨年のシンポジウムは、より一般的、かつ総合的な人びとの「意識」の総体を問う必要性を我々に提起した。 こうしたことを踏まえ、アジア民衆史研究会は、人々の「意識」総体を「世界観」として把握し、そこから人々の主体形成の問題を検討してゆくことを、中・長期的テーマに設定したい。 ここで、「世界観」とは、人々の空間・時間・人間に関わる意識の総体を指すものと、とりあえず、定義したい。そうした世界観は人々の発言、行動、経験や実践を支え、規制すると同時に、人々の発言、行動、経験や実践によって創出される認識枠組である。換言すれば、「世界観」は、社会的に位置付けられた価値体系の総体であるが、一方で、それは、価値体系を前提とした実践行為の体系でもある。したがって、この認識枠組は人々の社会的行動の前提となり、社会秩序を創出するが、また同時に、人々の社会的