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韓国 歴史問題研究所との国際学術交流について

2005年9月3日、アジア民衆史研究会ワーキンググループは韓国の 歴史問題研究所 を訪問し、共同ワークショップを行いました。 テーマは 「近代移行期における東アジアの民衆のあり方を比較し、連関を考えるための国際的ネットワーク」構築のためのワークショップ です。 訪韓・ワークショップの詳細につきましては、会報20号にてご報告いたします。 [歴史問題研究所:お知らせ] ネットワークを作る目的 (1) 民衆史を軸として、東アジア地域を中心に国際交流を行い、歴史研究者、特に若手研究者が共通する歴史認識を形成し、世界に向けて学問的発信をはかることを最大の目的とする。 (2) 若手研究者の育成。21世紀に入り、グローバリゼーションが広がるなか、歴史学に対しても変化が求められている。日本・中国・韓国を中心に民衆史研究者をつなぐ恒常的学問ネットワークが形成されることにより、大学院博士課程を中心とした研究者の国際交流が盛んになり、国際的視野に立った歴史学研究の展開が期待できる。 (3) 世界にむけての発信。20世紀における近代歴史学の発信源は欧米であった。上記を達成することにより、東アジア地域から世界に向け国際的視野に立った歴史学の成果を発信していくことが可能となる。 日程 9月1日(木):出発 9月2日(金)  フィールドワーク:    安城マッチュム博物館、竹州山城、梅山里石佛立像(太平弥勒)、竹山里五層石塔、七賢山七長寺、三・一運動記念館  東学名誉回復委員会との夕食会 梅山里石佛立像 七賢山七長寺 東学名誉回復委員会との夕食会 9月3日( 土 )  ワークショップ:    檜皮瑞樹「ナショナリズムをめぐる相克ー90年代以降の日本近代史研究の動向について」    水村暁人「日本における近年の民衆史研究の動向」    許英蘭「模索期、韓国“民衆史”の現在」    洪東賢「東学農民戦争に対する認識の変化と課題」    総合討論    次回国際交流についての話し合い  歴史問題研究所との夕食会 歴史問題研究所 ワークショップのようす 歴史問題研究所との夕食会 9月4日( 日 ):帰国

『アジア民衆史研究 第10集 移動・接触から見る空間認識』

アジア民衆史研究 第10集 移動・接触から見る空間認識 東アジアにおける民衆の世界観 (4) 鈴木文「2004年度趣旨文 移動・接触から見る空間認識」 (第1回研究会) 佐野智規「『ニッポン人異国漂流記』を読む」 小林茂文「コメント:書評に接して」 (第2回研究会) 新井勝紘「自由民権期の海外移動とその歴史的考察 ──私的研究史の整理──」 渡辺美季「清に対する琉日関係の隠蔽」 大庭祐介「参加記」 深瀬公一郎「参加記」 (第3回研究会) 蓮田隆志「「華人の世紀」と近世北部ベトナム」 深瀬公一郎「参加記」 (第4回研究会) 丸本健次「関東大震災に対する植民地朝鮮での反応」 (第5回研究会) 高尾善希「博徒・博徒集団の実証的研究 ──武蔵国北多摩郡地域およびその周辺地域の博徒群像──」 (2003年度第4回研究会) 文純實「朝鮮王朝後期の『邑誌』編纂にみる空間認識について ──『輿地図書』と私撰邑誌の比較から──」 書誌情報 2005年5月発行 B5版/約200ページ ISSN 1881-5618 日本語・ハングル・中国語(繁体字)目次 装幀:田村亜紀子

2005年度テーマ ウェスタンインパクトはいかに語られたか:東アジアにおける民衆の世界観(5)

ウェスタンインパクトはいかに語られたか アジア民衆史研究会では2001年度以来、中長期的なテーマとして「東アジアにおける民衆の世界観」を掲げている。空間・時間・人間に関わる意識総体を<世界観>として把握し、そこからアジア地域における民衆の主体形成の問題を検討することを課題としている。 このテーマのもと、2001年度は民衆の<世界観>の一側面として「君主観」の問題を取り上げ、続いて2002?2004年度は、「他者をめぐる空間認識」の問題を取り上げた。民衆は自らの所属している空間をどのように認識しているのか、という問題意識のもと、2002年度は大きく視野を広げ自己と他者との関係の中における空間認識を検討した。さらに2003年度には特に権力関係の中での空間認識の問題を検討し、支配層と民衆との認識のズレの問題について検討することが出来た。また、「境界」というものがアプリオリに存在するのではなく、「他者」との出会いを通じて形成されていくものであること等についても、幅広い議論をすることが出来た。2004年度においては、移動の結果として起こる接触という場面から、どのような世界観が形成され、ないしは変容をとげたのかという問題をとりあげ、直接的には国家を意識していない民衆独自の空間認識の検討を試みた。 しかし、議論においては、世界観が民衆の行為を拘束する既存の認識枠組みとして第一義的に意識され、民衆それぞれの行為によってそれが創出ないし変容し、あらたな実践の前提となっていくということが看過されがちであった。さらに、議論を続けていくうちに、世界観なかんずく空間認識について、それぞれの報告が興味深い指摘をしているものの、それらが有機的に関連しあって、「アジア」全体を問題にした提起が十分なされていないという反省が生じた。 そこで、本年度は、世界観を創出する行為としての<語り>に注目して、民衆の世界観を考えていきたい。今までの歴史学は、いかに正確に情報が伝達されたのかということに重きを置いてきた。一方で、<語る>という行為に着目した研究も表れてきている。このようだ動向をふまえて、アジア民衆史研究会としては、いままで十分方法的に把握されてこなかった流言飛語なども意識的にとりあげ、必ずしも正確ではなく整理もされていない民衆のきれぎれの<語り>を検討することで、民衆がどのように主体的に世界観を創出